3000字。
前回のおおよその文字数です。長文を書いてやるぜと息巻いていたのですが、そのボリュームは過去最高の約5000字(第二回)を大きく下回るという体たらく。我ながらいたたまれない気持ちです。
やはり一度ブログに取り上げた道をもう一度書くとなると、どうしても内容が被る個所が出てきますので、そこをカットしていくとこじんまりとした仕上がりになるんですね。
ですが今回も剣峠を越えていくお話です。
三回目だから書く事特にねぇ、とかそんな事柄から退いたりしませんし。皆さんが期待してるような超ロングロイドやらウルトラヒルクライムをして媚び諂ってみたりもしませんし。そもそも反省しないので三度目どころかそのうち四度目も書くことになりそう。剣峠を越えるよりその後書くブログの方が大変そうけど退かないし、媚びないし、省みないので大丈夫だと思います。
その日も例のごとくお腹を空かせた僕はお昼食べに行こうと出掛けました。
目的地は志摩市にあります。少々険しいですが剣峠を越えていくと行き易い所です。
今回で五回目となるこのブログですが、その内三回が剣峠ってどんだけこの峠好きなんやろうわし。
今回は宇治神社に参拝していきます。
絶妙なタイミングで反対方向を向くのぼり。足神ちんではない、足神さんだ。不敬な。
撫石。石撫、と一瞬見えて前後にそれぞれ一字足したい衝動に駆られますが撫石。
撫でて足の平癒を願うと足神さんの加護をいただけるそうです。かといって足で撫でる物ではないと思う、不敬であろう。
足神さんとは宇麻志阿斯訶備比古遅神(ウマシアシカビヒコジノカミ)のことです。知らんかったです、我ながら不敬である。
この神様は生命力を神格化した神様で、足の疲労回復に霊験あらたかなのだとか。
もう少し調べてみると、驚愕の事実が。
古事記には造化三神の後に生まれた四番目の神様、とあります。この造化三神と二柱の神を含めた五柱の神を別天津神(コトアマツカミ)といいます。別天津神は天地開闢の時に現れた神様です。天地開闢は創造神話。創世神話とか僕の中の中学生が大興奮しますね。バビロニア神話の創世記ことエヌマ・エリシュにおけるティアマトとマルドゥークや、北欧神話のニブルヘイムの氷とムスペルヘイムの炎がうんちゃらかんちゃら(このブログにこんな単語が飛び出すとは思わなかったですね)。
日本神話における天地創造と言えば伊弉諾と伊弉冉ですが、別天津神はその少し前の世代の神様ですね。
なんともスケールの大きい話です。
そんな神様の加護が受けられるならお参りしないとですね。
その日は珍しく社務所が開いていました。祭り以外の日に開いているのを見るのは初めてかもしれません。
前々から欲しかったお守りをゲット。
アスリートも参拝に訪れるという宇治神社。以前も触れたとおり野口みずきさんもロンドン五輪の前に参拝していたそうです。神社の方から聞いたのですが野口さんはお守りをユニフォームに縫い付けて五輪を走ったそうです。ご利益のありそうなお話ですね。
色は赤と緑がありました。鮮やかな赤も素敵でしたが(野口さんは赤のお守りだったそうです)、緑も綺麗でかっこ良かったのでそちらを購入しました。
ああ、サドルバッグにお守りが増えていく。でもお守りによる重量増は仕方ないですよね。
健脚のお守りを手に入れて足取りも軽くなり、峠へ向かいます。もちろん軽く感じるのはボトルに水が入っていないからなので、銀明水を汲んで行きましょう。バズーカを構えた方々と挨拶を交わして山頂まで辿り着くと、余韻に浸る事無く南伊勢方面へ向けて下山します。
相も変わらず険しい下りです。以前通った時は鹿様に遭遇したり、テーレッテーだったりと大変でしたが、この日はとても平穏。対向車も無く無事に降りる事が出来ました。
今回の目的地は勿論お昼御飯ですが、剣峠を下った先の集落に愛洲の里という小さな博物館があるので立ち寄ってみます。以前にも書いた愛洲久忠についての展示があるので楽しみです。
お昼休憩中!
という事なので、少しその周辺を散策します。
この愛洲の里の裏には五ヶ所城跡がありますのでそこを見学してみましょう。
五箇所城跡、と書いてあるわけですが逆光でほぼ読めませんね。カメラさん何やってるんですか。
この後ろには……、
違いますね。
愛洲一族の供養塔のようです。
ところどころぼやけて読みにくいですが、カメラのせいであって、こちらの案内には罪はありません。カメラさん何やってるんですか。
このお城は中世のもので、石垣はありませんでした。堀や居館の跡は見受けられました。この堀がなかなか深く、どうやら二重になっていたようです。そして堀の内側の、土塁の上に居館が築かれていたようです。この堀は南側から東側に掛けて設けられていました。西は川、北は山、南と東は堀。堅牢なお城だったのではないかと思わせる造りになっていました。
余談ですが愛洲氏は後に玉城町の田丸城へと移ります。田丸城は続百名城に選ばれました。やったね! 今から公式のガイドブックが出るのが楽しみでしんぼうたまらんです。続百名城が決まったのが今年の四月ですので、来年にはスタンプラリーやガイドブックなどの環境が整うといいな。三重県からは四つの城跡が選ばれましたが、これって全国最多ですよ!すげぇ!あ、でも岐阜県と静岡県、大分県からも四つ選ばれてますけどね。
少し時間をつぶしましたが、博物館が開くまではまだまだ時間があるので、初志貫徹すべくお昼ご飯を目指します。
志摩市の賢島の手前に目的地はあります。賢島の手前なので賢島では無いのですが、賢島のすぐ近くなので個人的な感覚では賢島です。なので志摩市の賢島を目指して走ります。
こちらが目的地の芳かつ亭。
志摩市でトンカツとハンバーグが食べたいなら断然お勧めのお店です。
志摩まで来てトンカツですか? とか言われそうですが、こちらは地元の方もたくさん来るお店。地元民に愛されるお店は安いか美味しいかその両方かの素敵なお店ですので、トンカツ食べましょう。
みぞれかつ定食。大根おろしとポン酢がアクセント。
お肉はヒレ肉。一頭の豚さんから取れる量が少なく、脂が少ないのに柔らかくて味も美味しいという最強のお肉。嫌いな人はきっといない。だからこそお値段高めなこのお肉をカツにしちゃった定食なのです。
大根おろしとポン酢を付けて頂きます。んまーい!
一口かじると簡単に噛み切れる軟らかさに感動さえ覚えます。肉のうま味と爽やかなポン酢、大根おろしの仄かな辛みが良くマッチしています。その美味しさにほっぺが落ちそうです。ほっぺが落ちるとは恐ろしい奇病ですが、カツの柔らかさに顎や顔の筋肉が弱くなったのだと思えば納得です。柔らかいものでもしっかり噛んで食べるのは大切なことですね。
ご飯もめっちゃ進みます。このお店の定食はおかわり自由。おかわりするっきゃありませんな。みそ汁や漬物の塩辛さが炎天下の中走ってきた体にはとても美味でご飯がモリモリ進みます。
店員さんもとても親切な方で、頼んでいないのにボトルいっぱいに水を補給してくれました。こういう気遣いは本当にありがたいですね。
お腹を満たしてお店を出ます。
炎天下ですが先程補充して頂いた冷たいお水があるから平気です。博物館も営業を再開している頃合いです。時間に余裕はあるのでのんびり走ります。のんびりしていたらせっかく補充してもらったお水がぬるま湯になっていました。
ボトルはキャノンデール純正品。飲みやすくデザインもシンプルだけどキャノンデールらしい逸品で気に入っているのですが、保冷力が無いのがこの時期は致命的ですね。やはりポーラーにお水入れてもらえば良かった……(お店に着いた時点でポーラーは空でキャノンデールには水が残っていたので何気なくそっちを持って入店した結果がこれだよっ)。
ちょっと温かい方が胃腸に優しい気がします。それに、暑い日に熱い飲み物や食べ物を食べると発汗により体温を下げる事が出来るのです。逆に冷たいものは発汗を促さないし、内臓が冷えて少し調子を悪くしてしまいます。冷たいものばかり飲んでいると夏バテしちゃう原因ですね。
と、わかっちゃいるけれど。むちゃんこ蒸し暑い日に冷たい飲み物は口当たりが最高なのです。
温かい飲み物の方が理に適っていたとしてもっ! 身体が温かい飲み物を欲しがったとしてもっ! 魂がっ、冷たい飲み物を欲しているのですっ!
そんなわけなのでチェリオの自販機でライフガードを買って飲みました。
ほてった体に冷たい炭酸が心地いいです。魂が躍動する!
チェリオと言えばたまにおかしなジュースを出してますよね。もう何年前になるか、かつてジャングルマンカフェというすごいジュースがありました。
クソまずいですね、と笑顔で女の子に言われ。
飲んだ友人があまりのまずさに体調を崩し、そのままインフルエンザになったり。
僕は冷たいのしか飲んだ事ありませんでしたが、ホットは凶器、と鬼気迫る表情で語っていたのが印象的だったり。
今となっては伝説のジャングルマンカフェ。目撃情報お待ちしております。みんなで飲んで体調を崩しましょう。
到着。こちらが愛洲の館。
中には小さな博物館があります。
貴重な資料の展示もあり小さいながらも見ごたえがあります。古い資料があるのでカメラ撮影はNGです。
愛洲久忠が開いた陰流の展示なども面白いです。
若い頃諸国を武者修行で回っていた久忠は、日向の国(今の宮崎県のあたり)の鵜戸神宮の岩屋で極意を授かったそうです。そのいきさつも展示がありました。37日に及ぶ祈祷の末に見出した境地。剣祖様すげー。
自分がやったらおかしな電波を受信しちゃいそうです。ああでもそれいつも通りだ。
三重県と宮崎県ってずいぶん離れてますが、愛洲久忠は明(中国)に行った事があるとか、海賊だったんじゃないのとか、海と関係が深そうな人物。仮に中国へ行った事があるとして、鵜戸神宮は海に面してますから久忠の興味を引くには十分でしょうね。
という事を好村兼一さんも小説で書いていました。
なのだけど、博物館の展示は陸路を行っているように見える。真相は如何に。タイムマシン欲しいですね。
走りに行くにはうってつけの立地なので、歴史が好きな方にはぜひ立ち寄って欲しいですね。
急勾配の階段です。
階段の踏み面も奥行きが短く、バリアフリーの時代に真っ向から反逆しているかのようです。
自分は歩き易いSPDシューズを愛用していますが、SPD-SLだとかなり危険ですので登るのであれば靴を脱いだ方がいいでしょう。
この階段を上った先は五箇所城跡へ続いています。
散策も楽しめたので今回これで帰宅します。そもそもメインの目的お昼御飯だしね。
帰りも剣峠です。
頑丈なゲイタースキンで良かった。